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空き家管理

コラム

公開日:2026年7月30日(最終更新日:2026年8月3日) 空き家

空き家にある浄化槽の管理は必要?清掃費用や使わない場合の手続きを解説

空き家にある浄化槽の管理は必要?清掃費用や使わない場合の手続きを解説

空き家でも浄化槽が設置されている場合、適切な管理を行わなければ悪臭や故障、近隣トラブルにつながる可能性があります。本記事では、空き家の浄化槽管理が必要な理由や点検・清掃の方法、使用しない場合の休止手続きについて詳しく解説します。

空き家でも浄化槽の管理は必要な理由

誰も住んでいない空き家であっても、敷地内に浄化槽がある場合は、そのまま放置しておくことはできません。人が使っていないからといって管理を怠ると、法律違反になるだけでなく、さまざまなトラブルを引き起こす原因になります。ここでは、空き家でも浄化槽の管理が必要とされる主な理由を3つに分けて解説します。

浄化槽法で定められている管理義務

日本の法律である「浄化槽法」では、浄化槽の所有者や管理責任者に対して、定期的な管理を行うことを義務付けています。この法律は、空き家であっても原則として適用されます。具体的には、定期的な点検、年に1回以上の清掃、そして毎年受けることが義務付けられている法定点検を行う必要があります。

これらを怠り、行政からの改善命令などを受け取っても無視し続けた場合には、罰金などの罰則が科されることもあります。空き家だからといって、何の手続きもせずに勝手に管理をやめることは法律上認められていません。

放置した場合のリスクとトラブル

浄化槽の管理をせずに放置していると、設備そのものが劣化し、将来的に大きなトラブルにつながります。浄化槽の中では、汚れを分解するためにたくさんの微生物が働いていますが、管理を怠ると微生物が死滅してしまいます。

また、槽内に空気を送る機械が故障したり、配管が詰まったりすることもあります。このように設備が傷んでしまうと、将来的に家を再び使おうとしたり、売却や賃貸に出そうとしたりしたときに、高額な修理費用や交換費用がかかってしまうリスクがあります。

近隣住民や環境への影響

浄化槽の管理を怠ることは、自分たちだけの問題にとどまらず、周囲の環境や近隣住民にも深刻な迷惑をかけることになります。管理が不十分な浄化槽からは、強い悪臭が発生しやすくなります。さらに、汚れた水が溜まったままになると、蚊やハエなどの害虫が大量に発生する原因にもなります。

また、適切に処理されていない汚水が近くの道路や川に流れ出せば、地域の環境汚染につながります。これらは近隣住民との大きなトラブルに発展し、苦情が寄せられる原因となるため、適切な維持管理が欠かせません。

空き家の浄化槽の基本的な仕組み

浄化槽は、家庭から出る汚れた水をきれいにして川などに流すための装置です。下水道が通っていない地域では、各家庭にこの浄化槽が設置されています。空き家であっても、設置されている浄化槽のタイプや仕組みを理解しておくことは、適切な管理を行うためにとても大切です。

単独処理浄化槽と合併処理浄化槽の違い

家庭用の浄化槽には、大きく分けて「単独処理浄化槽」と「合併処理浄化槽」の2つの種類があります。それぞれの特徴や違いは以下の通りです。

単独処理浄化槽(みなし浄化槽)

単独処理浄化槽は、トイレの汚水だけをきれいにする装置です。台所やお風呂、洗濯などで使った汚れた水(生活雑排水)は、処理されずにそのまま近くの川や側溝へ流れてしまいます。環境への負担が大きいため、現在は新しく設置することが法律で禁止されています。もし空き家にこのタイプが設置されている場合は、将来的に合併処理浄化槽への入れ替えを検討する必要があります。

合併処理浄化槽

合併処理浄化槽は、トイレの汚水に加えて、台所やお風呂、洗濯などの生活排水もすべてまとめて一緒にきれいにする装置です。単独処理浄化槽に比べて、川や海を汚す原因を大幅に減らすことができます。現在、新しく設置される浄化槽はすべてこの合併処理浄化槽です。

浄化槽の構造と役割

浄化槽の中はいくつかの部屋に分かれており、主に「微生物」の力を借りて段階的に水をきれいにしていきます。一般的な合併処理浄化槽の内部は、以下のような流れで水を処理しています。

1. 固形物を取り除く(沈殿・ろ過)

家庭から流れてきた汚水が最初に通る部屋です。ここでは、水に溶けない大きなゴミや固形物を沈めて取り除きます。また、酸素を嫌う微生物(嫌気性微生物)が、汚れを分解する役割も担っています。

2. 微生物に汚れを食べてもらう

次に、空気を好む微生物(好気性微生物)がいる部屋に水が送られます。ここでは「ブロワー」と呼ばれる送風機を使って外から空気を送り込み、微生物を活発に働かせます。活発になった微生物が、水に溶けている細かい汚れを食べて分解し、水をきれいにしていきます。

3. 消毒して川へ流す(消毒)

最後に、きれいになった水を塩素剤などの消毒薬で殺菌します。病原菌などを死滅させ、安全な水にしてから近くの川や側溝へ放流します。

空き家の浄化槽の点検と清掃の方法

空き家であっても、浄化槽の維持管理は法律で義務づけられています。具体的には「保守点検」「法定点検」「清掃」の3つを行う必要があります。ここでは、それぞれの具体的な内容や実施する頻度、業者への依頼方法について分かりやすく解説します。

法定点検の内容と実施頻度

法定点検は、浄化槽が正常に機能しているかを客観的に確認するための検査です。都道府県知事が指定した「指定検査機関」が実施します。

法定点検には以下の2種類があり、それぞれ実施する頻度が異なります。

設置後等の水質検査(第7条点検)

浄化槽を新しく設置した際、または使い始めてから3ヶ月を経過した日から5ヶ月の間に行う検査です。空き家を購入して新たに浄化槽を設置した場合などに必要となります。

定期検査(第11条点検)

毎年1回、定期的に行う検査です。浄化槽の機能が維持されているか、保守点検や清掃が適切に行われているかを総合的に判定します。

なお、法定点検とは別に、機器の調整や消毒剤の補充などを行う「保守点検」も必要です。保守点検は、通常は年に3回から4回以上行うことが義務づけられています。ただし、浄化槽の規模や処理方式によって必要な回数は異なります。

清掃のタイミングと具体的な流れ

浄化槽の清掃は、槽内にたまった汚泥(泥やかす)を抜き取り、調整や洗浄を行う作業です。

清掃を行うタイミング(頻度)

浄化槽の清掃は、浄化槽法により「年に1回以上」実施することが定められています。一部の特殊な処理方式では半年に1回以上となる場合もあります。空き家で汚水が流れ込まない状態であっても、休止の手続きをとっていない場合は、原則として年1回の清掃が必要です。

清掃の具体的な流れ

清掃作業は一般的に以下のような流れで進められます。

  1. スカム(浮き上がった泥の層)や汚泥のたまり具合など、槽内の状況を確認します。
  2. 専用のバキューム車を使い、槽内の汚泥やスカムを吸い出します。
  3. 槽内の壁面や各装置に付着した汚れを水で洗い流します。
  4. 内部の機器に異常がないか確認し、必要に応じて水を張って正常に動く状態に戻します。

管理業者への依頼方法

浄化槽の点検や清掃は専門的な知識や技術が必要なため、資格を持った専門の業者に依頼する必要があります。自分で行うことはできません。

保守点検の依頼先

各都道府県などの登録を受けた「浄化槽保守点検業者」に依頼します。定期的な点検を任せるために、年間契約などの維持管理契約を結ぶのが一般的です。

清掃の依頼先

市区町村長から許可を受けた「浄化槽清掃業者」に依頼します。お住まいの自治体のホームページや、環境課などの窓口で許可業者の一覧を確認することができます。

法定点検の依頼先

都道府県知事が指定した「指定検査機関」に依頼します。普段から利用している保守点検業者や清掃業者を通じて申し込むことも可能です。

空き家の管理をスムーズに行うためには、保守点検と清掃を同じグループ会社や提携している業者に一括して依頼すると、手続きの手間を減らすことができます。

空き家の浄化槽の管理にかかる費用

空き家であっても、浄化槽を維持するためには定期的な点検や清掃が必要です。ここでは、それぞれの管理作業にかかる費用の相場や、維持管理費を抑えるためのポイントについて分かりやすく解説します。

点検費用の相場

浄化槽の点検には、主に「保守点検」と「法定検査」の2種類があります。

保守点検は、浄化槽の機器が正しく動いているかを確認し、消毒薬の補充などを行う作業です。一般家庭用の規模(5人〜7人槽)の場合、年に3回から4回実施することが義務付けられており、年間の費用相場は10,000円から20,000円程度です。

法定検査は、浄化槽が正常に機能しているかを第三者機関が確認する検査で、年に1回の実施が義務付けられています。こちらの費用は都道府県や浄化槽の大きさによって異なりますが、一般家庭用の規模であれば、1回あたり4,000円から6,000円程度が目安となります。

清掃費用の目安

浄化槽の清掃は、槽内にたまった泥や汚れを吸い出し、機器を洗浄する作業です。原則として年に1回以上行うことが法律で定められています。

清掃費用の目安は、一般家庭用の規模(5人槽)の場合、1回あたり20,000円から50,000円程度です。浄化槽の大きさや、吸い出す泥の量によって金額が変動します。空き家で水を使っていなくても、休止の手続きをしていない場合は、定期的な清掃が必要になることがあります。

維持管理費を抑えるポイント

空き家の浄化槽にかかる維持費を少しでも安く抑えるためには、いくつかの方法があります。

まずは、複数の管理業者から見積もりを取ることです。基本料金や出張費は業者によって異なるため、比較することで手頃な料金の業者を見つけることができます。また、保守点検と清掃を同じ業者にまとめて依頼することで、セット割引が適用される場合もあります。

さらに、今後長期間にわたって空き家を使用する予定がない場合は、浄化槽の「休止手続き」を行うことが最も効果的です。休止手続きをして認められれば、その期間中の点検や清掃、法定検査の義務が免除されるため、維持費を大幅に削減できます。

空き家の浄化槽を使わない場合の対応

空き家を長期間にわたって使用しない場合、浄化槽の運転を止めておくことができます。ただし、何も手続きをせずにそのまま放置してしまうと、点検や清掃の義務が発生し続けたり、周囲に悪臭を放ったりする原因になります。使わない期間が長くなる場合は、適切な手順を踏んで対応することが大切です。

休止手続きの方法

空き家になる期間がおおむね1年以上になる場合は、自治体に休止の届け出をすることをおすすめします。この手続きを行うことで、毎年の点検や清掃、法定検査を受ける義務が免除され、維持費を抑えることができます。

手続きの具体的な流れは以下の通りです。

まず、専門の清掃業者に依頼して、浄化槽の中にある汚れや泥をすべてきれいに取り除いてもらいます。このとき、消毒のために設置されている薬(消毒剤)も一緒に取り外してもらいます。清掃が終わったら、浄化槽が傷まないように水道水などで新しい水を張っておきます。

清掃が完了したら、業者から受け取る「清掃の記録」を添えて、市区町村の窓口に「浄化槽使用休止届出書」を提出します。これで正式に休止手続きが完了し、管理義務が免除されます。

ブロワー停止や封鎖の注意点

浄化槽には、汚れを分解する微生物に空気を送るための「送風機(ブロワー)」という機械がついています。電気代を節約するために、事前の清掃をせずに送風機の電源を切ったり、ブレーカーを落としたりすることは絶対に避けてください。空気が送られなくなると、微生物が死んでしまい、中にある汚水が腐って強烈な悪臭を放つようになります。

送風機を停止させたい場合は、必ず前述の休止手続きと、中をきれいにする清掃をセットで行う必要があります。

また、家の中の水道を長期間使わないと、排水口の途中に水が溜まって臭いや虫を防いでいる部分(排水トラップ)の水が乾いてしまいます。水が乾くと、浄化槽からの臭いやガス、虫が家の中に逆流してくるため、休止する際は消毒用の薬をしっかり撤去し、必要に応じて排水口を一時的にふさぐなどの対策を検討しましょう。

再使用する際のチェック項目

空き家での生活を再開したり、人に貸し出したりして浄化槽を再び使い始める場合は、使用を始める前に確認すべき項目があります。

まず、自治体に「浄化槽使用再開届出書」を提出する必要があります。届け出をせずに使い始めてしまうと、管理が行き届いていない状態となり、環境を汚してしまう恐れがあります。

また、実際に使い始める直前には、必ず保守点検の専門業者に連絡し、全体の点検を行ってもらいます。長期間使っていなかった送風機などの機械が正常に動くかどうかの確認や、取り外していた消毒用の薬を新しく設置してもらう必要があります。これらの確認がすべて終わってから、安心して使い始めるようにしてください。

空き家の浄化槽管理でよくある質問

水を流さないとどうなるか

空き家で長期間水を使わない状態が続くと、排水口の奥にある、下水からの臭いを防ぐための水(水たまり)が蒸発してしまいます。この水がなくなると、浄化槽からの不快な臭いやガスが室内に逆流し、家の中に充満する原因になります。

また、浄化槽の中に新しい水や空気が送られないことで、汚れを分解する微生物が減ってしまい、さらに臭いが悪化したり、蚊やチョウバエなどの害虫が大量に発生したりすることもあります。

長期間放置しても問題ないか

管理を怠ったまま長期間放置することは、法律違反になる可能性があるため避けてください。浄化槽は、使用していなくても定期的な点検や清掃を行うことが法律で義務付けられています。

何も手続きをせずに放置すると、悪臭や害虫で近隣住民に迷惑をかけるだけでなく、内部の機械が故障したり、地中の圧力によって浄化槽本体が変形・破損したりする原因にもなります。長期間使用しない場合は、適切な手続きと管理を行う必要があります。

自治体への届け出は必要か

空き家の浄化槽を長期間使わない場合は、自治体(都道府県や保健所など)へ「使用休止」の届け出を行うことができます。この届け出を提出し、専門業者による適切な清掃や機器の停止を行うことで、休止期間中の定期点検や清掃、法定点検の義務を一時的に免除してもらうことが可能です。

なお、再び家を使い始める際や、浄化槽を完全に撤去する際にも、それぞれ自治体への届け出が必要になります。具体的な手続き方法は、お住まいの市区町村の窓口へ確認することをおすすめします。

まとめ

空き家の浄化槽は、使用していなくても法律に基づく管理が必要です。長期間使わない場合は、休止手続きを行うことで維持費を抑えられます。放置によるトラブルを防ぐためにも、専門業者や自治体へ相談し、状況に合った適切な管理を行いましょう。

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