実家を将来どうするべきかは、多くの人が直面する悩みです。住み続けることで住宅費を抑えられる一方、リフォームや相続の問題も避けられません。
また、空き家のまま放置すると維持費や税金、防犯・防災面でのリスクも生じます。本記事では、実家に住み続ける場合と別に住居を構える場合のメリット・デメリット、判断基準、空き家を防ぐ活用方法までわかりやすく解説します。
実家に将来住み続けるか別の住居を構えて空き家にするか迷う背景
実家の相続や将来の住まいに対する現代の悩み
現代の日本において、実家をどのように扱うべきかという問題は、多くの家族にとって避けては通れない深刻な悩みとなっています。親が高齢になり、将来の暮らしや介護、そしていずれ発生する相続について考える際、実家を「引き継いで住み続ける」のか、あるいは「自分は別の場所に住まいを構え、実家を空き家にする」のか、選択を迫られるケースが増えています。
このような悩みが生じる背景には、日本の社会構造の変化があります。かつてのように親と同居し、家を代々引き継ぐという価値観が薄れ、核家族化が進んだことで、子ども世代がすでに別の場所に生活拠点を築いていることが一般的になりました。仕事や子育ての都合から、実家がある地元に戻ることが現実的に難しいという事情もあり、将来の住まいをどうするかという決断を難しくしています。
空き家問題の現状と放置するリスク
現在、日本国内では少子高齢化や人口減少に伴い、空き家が急速に増加しており、深刻な社会問題となっています。実家を相続したものの、具体的な活用方法が決まらないまま、誰も住まない状態で放置してしまうケースが後を絶ちません。
空き家を放置することには、多くのリスクが伴います。建物は人が住まなくなると急速に傷み、老朽化が進みます。これにより、地震や台風などの災害時に倒壊する危険性が高まるほか、庭木の繁茂やゴミの不法投棄による衛生環境の悪化、放火や不審者の侵入といった防犯上の問題も生じます。
さらに、法的なペナルティや経済的な負担も無視できません。適切に管理されていない空き家は、法律に基づき「特定空家等」や「管理不全空家等」に指定されることがあります。指定されると、土地にかかる固定資産税の優遇措置が適用されなくなり、税負担が大幅に増加する可能性があります。周囲への悪影響や経済的な不利益を防ぐためにも、空き家を放置せず、早期に対策を講じることが重要視されています。
実家に将来住み続ける場合のメリットとデメリット
将来、実家に住み続けるという選択肢には、新しく家を購入する費用を抑えられる一方で、建物の老朽化に伴うリフォームが必要になるなどの課題も存在します。ここでは、実家に住み続ける場合の具体的なメリットとデメリットを分かりやすく解説します。
実家に住み続けるメリットと経済的な恩恵
実家に住み続ける最大のメリットは、住居にかかる費用を大幅に抑えられる点です。新しく土地や家を購入したり、マンションを借りたりする場合と比べて、新しく住宅ローンを組む必要がないため、毎月の生活費にゆとりが生まれます。
また、税金面での恩恵も期待できます。親から実家を相続してそのまま住み続ける場合、税法上の「小規模宅地等の特例」が適用されれば、土地の相続税評価額が最大で80%減額される可能性があります。これにより、相続税の負担を大きく軽減できる場合があります。ただし、この特例の適用には同居の有無など一定の細かい要件を満たす必要があるため、事前に専門家などへ確認しておくことが大切です。
さらに、住み慣れた地域でそのまま暮らせるため、近隣住民との関係を新しく築く必要がなく、生活環境の変化によるストレスが少ないことも大きな安心材料です。
実家に住み続けるデメリットとリフォームの必要性
一方で、実家に住み続けることにはいくつかのデメリットもあります。最も大きな課題は、建物の老朽化に伴うリフォームの必要性です。築年数が経過している実家の場合、現代の耐震基準を満たしていないことがあり、安全に暮らすためには耐震補強工事が必要になる場合があります。
また、古い家は断熱性が低く、冬の寒さや夏の暑さが厳しい傾向にあります。快適に暮らすためには、窓や壁の断熱工事、キッチンや浴室といった水回りの設備交換、外壁や屋根の塗り替えなどが必要となり、結果として高額なリフォーム費用がかかることも珍しくありません。
さらに、将来を見据えたバリアフリー化の手間も生じます。階段の手すり設置や段差の解消など、高齢になっても安全に暮らせる住まいにするための改修費用も考慮する必要があります。そのほか、親が残した大量の荷物を片付けるための時間や費用の負担、実家を特定の誰かが引き継ぐことによる兄弟姉妹間での遺産分割の話し合いが難航するリスクといった、精神的な負担が生じる可能性もあります。
別に住居を構えて実家を空き家にする場合のメリットとデメリット
別に住居を構えるメリットと自由な暮らし
実家とは別に新しく住居を構える最大のメリットは、自分や家族のライフスタイルに合わせた自由な暮らしを実現できる点です。仕事の通勤や子どもの通学に便利な立地を選んだり、最新の設備や好みの間取りを取り入れたりすることができます。また、親世代と生活空間を分けることで、お互いのプライバシーを尊重しながら、気兼ねのないのびのびとした生活を送れることも大きな魅力です。
実家を空き家にするデメリットと維持費の負担
一方で、実家を空き家として残す場合には、いくつかの大きなデメリットがあります。まず、人が住まなくなった家は、空気の入れ替えや水の通水が行われないため、想像以上の早さで老朽化が進んでしまいます。さらに、住んでいなくても固定資産税や都市計画税といった税金は毎年かかり続けます。
定期的な掃除や庭木の剪定を業者に依頼する費用、火災保険料などの維持費も大きな負担となります。管理を怠ると、害虫の発生や放火、不法投棄などの防犯・防災上のリスクが高まり、近隣住民とのトラブルに発展することもあるため注意が必要です。
実家に将来住み続けるか別に住居を構えて空き家にするかの判断基準
将来、実家に住み続けるべきか、それとも別の場所に住まいを構えて実家を空き家にするべきかは、非常に悩ましい問題です。後悔のない選択をするためには、客観的な基準をもとに判断することが大切です。ここでは、判断の鍵となる3つの基準について詳しく解説します。
実家の立地条件と資産価値
まず確認したいのが、実家がある場所の立地条件と、不動産としての資産価値です。駅から近い、周辺に商業施設や病院が充実しているなど、利便性が高い立地であれば、将来的に住み続けるメリットは大きくなります。また、資産価値が高い地域であれば、将来的に売却や賃貸に出すことも比較的容易です。
一方で、交通の便が悪く、日々の買い物が不便な地域などの場合は、住み続けるにしても生活の利便性に不安が残ります。さらに、資産価値が低いと、手放したくても買い手や借り手が見つからず、管理の手間や税金といった維持費だけがかかり続ける負担となる可能性もあります。実家の現在の市場価値や、周辺環境の将来性を事前に確認しておくことが重要です。
自身のライフプランと家族の意向
次に、自分自身のこれからのライフプランと、家族の気持ちや意向を整理しましょう。仕事の勤務地や子どもの教育環境、老後の暮らし方など、自分たちがどのような生活を送りたいかによって、最適な住まいの場所は変わります。実家が現在の生活拠点から遠く離れている場合、実家に移り住むことで仕事や子育てに影響が出ることも考えられます。
また、配偶者や子ども、兄弟姉妹といった家族の意向も無視できません。特に実家の相続に関わる兄弟姉妹がいる場合は、将来的に誰が実家を引き継ぐのか、あるいは売却して分けるのかなど、事前にしっかりと話し合っておく必要があります。家族全員が納得できる方向性を探ることが、将来のトラブルを防ぐことにつながります。
実家のリフォーム費用と新居の購入費用の比較
金銭面での比較も欠かせない判断基準です。実家に住み続ける場合、建物が老朽化していれば、耐震性を高める補強工事や雨漏りの修繕、段差をなくすバリアフリー化などのリフォームが必要になります。実家の状態によっては、リフォーム費用が数百万円から一千万円以上に膨らむことも珍しくありません。
このリフォーム費用と、新しく別の住居を購入する場合の費用を天秤にかけて比較します。新居を購入する場合は、住宅ローンの借り入れや月々の返済計画を考慮する必要がありますが、最新の設備や好みの間取りを手に入れられる利点があります。
実家のリフォームに高額な費用をかける価値があるのか、それとも新居に資金を充てた方が長期的に見て合理的であるのか、具体的な見積もりを比較して冷静に検討しましょう。
実家を空き家にしないための具体的な対策と活用方法
将来、実家に住む予定がない場合でも、そのまま空き家として放置することは避けなければなりません。放置された空き家は老朽化が進み、周囲に迷惑をかけるだけでなく、維持費や税金の負担が重くのしかかります。ここでは、実家を空き家にしないための具体的な3つの対策と活用方法について詳しく解説します。
実家を売却して現金化する
実家を売却することは、将来の管理負担を完全になくすための最も確実な方法の一つです。不動産を現金にして分けることで、遺産相続の際のトラブルを防ぎやすくなるというメリットもあります。
仲介による売却と買取による売却の違い
実家を売却する方法には、大きく分けて「仲介」と「買取」の2種類があります。仲介は、不動産会社に買い手を探してもらう方法です。売却までに数ヶ月以上の時間がかかることが多いですが、市場の相場に近い価格で売却できる可能性があります。
一方、買取は不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。売却価格は仲介よりも安くなる傾向がありますが、すぐに現金化でき、買い手を探す手間や時間を省くことができます。実家の状態や、いつまでに手放したいかによって適した方法を選びましょう。
売却時の注意点と税金の特例
実家を売却する際には、名義人が誰になっているかを確認する必要があります。親が亡くなっている場合は、名義を変更する手続き(相続登記)を行わなければ売却を進めることができません。
また、売却によって利益が出た場合には所得税や住民税がかかりますが、一定の条件を満たせば税金が安くなる「相続空き家の3,000万円特別控除」などの特例を受けられることがあります。特例の適用には期限や細かい条件があるため、事前に税理士や税務署に確認することをおすすめします。
実家を賃貸物件として活用する
実家を手放したくないものの自分では住まないという場合は、第三者に貸し出して賃貸物件として活用する方法があります。定期的な家賃収入を得ながら、建物の管理を借り手に任せることができます。
戸建て賃貸としての活用方法
実家をそのまま、またはリフォームして一戸建ての賃貸住宅として貸し出します。近年、ファミリー層を中心に庭付きの一戸建て賃貸の需要が高まっています。
また、賃貸契約の種類には、一般的な「普通借家契約」のほかに、契約期間が満了すると自動的に契約が終了する「定期借家契約」があります。将来的に自分で住む可能性がある場合や、いずれ売却する予定がある場合は、定期借家契約を選択することで、立ち退きをめぐるトラブルを防ぎやすくなります。
賃貸経営のメリットと管理の手間
賃貸活用の大きなメリットは、毎月の家賃収入で固定資産税や維持費を賄える点です。人が住むことで建物の劣化を防ぐ効果もあります。しかし、入居者を募集するための費用や、設備の故障に対応する修繕費用などのコストが発生します。
また、入居者とのやり取りや家賃の回収といった管理業務を自分で行うのが難しい場合は、不動産管理会社に委託する必要があり、その分の手数料がかかります。空室になるリスクも考慮し、地域の需要を十分に調査することが重要です。
実家を解体して更地にする
建物の老朽化が激しく、売却や賃貸が難しい場合は、建物を解体して更地(さらち)にするという選択肢があります。古い建物がなくなることで、倒壊や火災、害獣の発生といった危険性をなくすことができます。
更地にするメリットと解体費用の目安
建物を解体して更地にすると、土地としての買い手が見つかりやすくなるメリットがあります。古い家が建っている状態よりも、新しく家を建てたい人にとって購入後のイメージが湧きやすいためです。
ただし、解体にはまとまった費用が必要です。一般的な木造住宅の場合、建物の構造や周辺の道路状況によっては、総額で数百万円にのぼることもあります。自治体によっては、危険な空き家の解体に対して補助金を出している場合があるため、事前に役所の窓口で相談してみましょう。
更地にした後の固定資産税の変化
実家を解体する際に最も注意しなければならないのが、固定資産税の負担増です。住宅が建っている土地には税金を安くする特例(小規模住宅用地の特例)が適用されており、固定資産税が最大で6分の1に減額されています。
しかし、建物を解体して更地にするとこの特例が適用されなくなるため、翌年からの固定資産税が最大で6倍に跳ね上がる可能性があります。更地にした後の土地の使い道や、すぐに売却できる見込みがあるかどうかを慎重に検討した上で、解体に踏み切ることが大切です。
まとめ
実家に住み続けるか、別の住居を構えて空き家にするかは、立地や資産価値、ライフプラン、家族の意向、費用を総合的に比較して判断することが重要です。住まない場合でも放置は避け、売却や賃貸、適切な管理など早めに活用方法を検討しましょう。将来の負担や相続トラブルを防ぐためにも、家族で十分に話し合い、計画的に準備を進めることが大切です。







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