空き家を所有する皆様、水道の通水を怠るとどうなるかご存知ですか?長期間通水をしないと、水道管の劣化・破損リスクが高まり、排水管からの異臭や害虫発生、さらには水道水の衛生状態悪化を招きます。この記事では、空き家管理における水道通水の重要性を具体的なリスクと共に解説し、適切な頻度や自分でできる通水方法、専門業者への依頼のメリットを紹介します。
空き家の水道を通水する重要性
空き家を所有している場合、水道の管理は非常に重要な課題です。たとえ誰も住んでいなくても、水道設備は建物に存在し続けています。長期間にわたって水道を使用しない状態が続くと、様々な問題が発生するリスクが高まるため、定期的な通水が欠かせません。
水道の通水は、単に水を流すという行為以上の意味を持ちます。水道管や排水管の内部に新鮮な水を循環させることで、管内に滞留した古い水を入れ替え、衛生的な環境を保ちます。これにより、配管の劣化を防ぎ、異臭や害虫の発生を抑制する効果が期待できます。
また、定期的な通水は、水道設備の不具合を早期に発見する機会にもなります。水漏れや詰まりといったトラブルは、放置すると建物の損傷や高額な修繕費用につながる可能性がありますが、通水時に異常に気づくことで、被害を最小限に抑えることができます。
このように、空き家の水道を通水することは、建物の資産価値を維持し、将来的な利用や売却をスムーズに進めるための基本的な管理作業と言えるでしょう。
空き家で水道を通水しないと起こる具体的な問題
空き家の水道を長期間使用しないまま放置すると、様々なトラブルが発生する可能性があります。ここでは、具体的にどのような問題が起こりうるのかを解説します。
水道管の劣化と破損リスク
水道管内部に水が流れない状態が続くと、水道管やその接続部分が乾燥し、劣化が進みます。特に、パッキンなどのゴム部品は乾燥によって硬化し、ひび割れを起こしやすくなります。また、金属製の水道管では錆が発生しやすくなり、管の内部が侵食されることもあります。
このような状態で急に水道を通水すると、劣化したパッキンや錆びた水道管が水圧に耐えきれず、破損してしまうリスクが高まります。これにより、予期せぬ漏水事故が発生し、建物に深刻な損害を与えるだけでなく、近隣住民への迷惑にもつながる可能性があります。
排水管からの異臭や害虫の発生
一般的な家庭の排水口には、「排水トラップ」と呼ばれる構造があり、常に水が溜まることで下水管からの臭いや害虫の侵入を防いでいます。しかし、空き家で水道を長期間通水しないと、この排水トラップ内の水が蒸発し、「封水切れ」の状態になります。
封水切れが起こると、下水管から発生する不快な異臭が室内に逆流し、空き家全体に充満してしまいます。さらに、ゴキブリやチョウバエなどの害虫が下水管を通じて室内に侵入しやすくなり、不衛生な状態を引き起こす原因となります。
水道水の衛生状態悪化と健康リスク
水道管の中に水が滞留したまま長期間放置されると、管内部で雑菌が繁殖しやすくなります。特に、水温が高い時期には、レジオネラ菌などの人体に有害な菌が繁殖するリスクが高まります。また、水道管の錆が水に溶け出し、「赤水」が発生することもあります。
このような不衛生な水道水は、飲用はもちろん、手洗いや掃除などの生活用水としても使用するべきではありません。もし誤って使用してしまうと、健康被害を引き起こす可能性があり、非常に危険です。空き家を再び利用する際には、通水によってこれらの問題を解消する必要があります。
定期的な空き家水道通水がもたらすメリット
空き家であっても、定期的に水道を通水することには多くの利点があります。単に水を流すだけでなく、建物の維持管理において重要な役割を果たすのです。
水道設備の健全性を保ち、トラブルを未然に防ぐ
定期的な通水は、水道管や排水管の内部に新鮮な水を循環させ、水の滞留による錆や汚れの付着を防ぎます。これにより、水道管の劣化を遅らせ、将来的な破損リスクを低減することができます。また、蛇口やトイレ、給湯器などの水道設備も、定期的に使用することで固着や動作不良を防ぎ、機能維持につながります。
衛生的な環境を保ち、異臭や害虫の発生を抑制
排水トラップ(封水)に水を供給し続けることで、下水管からの悪臭や害虫(ゴキブリなど)の侵入を効果的に防ぐことができます。封水が蒸発して切れてしまうと、これらの問題が発生しやすくなりますが、定期的な通水によって常に封水を保つことが可能です。これにより、空き家内の空気環境を清潔に保ち、不快な異臭や害虫の発生を抑制します。
水質を良好に保ち、再利用時の安心感を確保
水道管内に水が長期間滞留すると、塩素が抜けたり、微細な汚れが蓄積したりして、水質が悪化する可能性があります。定期的な通水は、古い水を排出して新しい水と入れ替えることで、常に水道管内の水質を良好に保ちます。これにより、将来的に空き家を再利用する際にも、安心して水道水を使用できる状態を維持できます。
早期に異常を発見し、被害の拡大を防ぐ
通水作業を行う際には、水道メーターの動きや蛇口からの水圧、排水の状態などを確認する良い機会となります。この際に、水漏れの兆候や配管の異常、設備の故障などを早期に発見できる可能性があります。小さなトラブルのうちに対処することで、大規模な修繕費用や二次被害の発生を防ぎ、空き家全体の資産価値を守ることにもつながります。
空き家の水道を通水する頻度と方法
空き家の水道を適切に管理するためには、定期的な通水が欠かせません。ここでは、どれくらいの頻度で、どのように通水すれば良いのか、また、ご自身で行う場合と専門業者に依頼する場合のそれぞれのポイントについて解説します。
適切な通水頻度の目安
空き家の水道を通水する頻度は、物件の状態や立地によって異なりますが、一般的には「月に1回程度」が推奨されます。少なくとも「2〜3ヶ月に1回」は通水するように心がけましょう。
特に夏場は、気温が高く雑菌が繁殖しやすいため、より頻繁な通水を検討すると良いでしょう。冬場は凍結のリスクもあるため、短時間でも良いので定期的に水を流すことが重要です。1回あたりの通水時間は、各蛇口から「数分間」を目安に、水道管内の水が入れ替わるように十分に流してください。
自分で行う通水作業のポイント
ご自身で空き家の水道を通水する際は、以下のポイントに注意して行いましょう。
全ての蛇口から通水する
キッチン、浴室、洗面台、トイレ、洗濯機置き場など、家の中にある全ての蛇口から水を流しましょう。特に普段使わない場所の蛇口は、念入りに通水することが大切です。
排水口にも水を流す: 排水トラップ内の封水が蒸発すると、下水からの異臭や害虫の侵入を招きます。蛇口から水を流すだけでなく、各排水口にも水を流し、封水を補充するようにしてください。
通水時の確認: 水を流している間に、水の濁りや異臭がないか、また、蛇口や配管からの水漏れがないかを目視で確認しましょう。異常があれば、早めに対処することが重要です。
急に全開にしない: 長期間使われていなかった水道管に急に強い水圧をかけると、破損の原因になることがあります。最初は少しだけ開け、徐々に水量や水圧を上げていくようにしましょう。
専門業者に依頼するメリット
ご自身での通水作業が難しい場合や、より専門的な管理を求める場合は、空き家管理サービスを提供する専門業者に依頼するメリットは大きいでしょう。
定期的な訪問と点検: 業者は定期的に空き家を訪問し、通水作業だけでなく、水道管や排水設備の異常がないか、水漏れがないかなどをプロの目で点検してくれます。
トラブルの早期発見と対応: 専門知識を持つ業者であれば、小さな異変にも気づきやすく、水漏れや詰まりなどのトラブルを早期に発見し、適切な対応を提案してくれます。
手間と時間の削減: 遠方に住んでいる方や忙しい方にとって、定期的な通水作業は負担が大きいものです。業者に依頼することで、管理の手間と時間を大幅に削減できます。
安心感の向上: プロによる定期的な管理は、空き家を良好な状態に保ち、将来的な修繕費用を抑えることにも繋がります。これにより、所有者様の安心感も高まります。
通水以外の空き家水道管理の注意点
空き家の水道管理は、定期的な通水だけでは不十分です。特に季節の変わり目や長期で家を空ける際には、通水以外の対策も講じることで、より安心して空き家を管理できます。ここでは、特に注意すべき二つのポイントについて詳しく解説します。
冬場の凍結防止対策
冬場の気温が氷点下になる地域や、日当たりの悪い場所にある空き家では、水道管の凍結に注意が必要です。水道管が凍結すると、水が使えなくなるだけでなく、膨張によって水道管が破裂し、解凍時に大規模な水漏れを引き起こす可能性があります。
具体的な凍結防止対策としては、以下の方法が挙げられます。
水抜きを行う: 家全体の水道の元栓を閉め、すべての蛇口を開放して水道管内の水を抜く方法です。最も効果的な凍結防止策とされています。特に、屋外にある水道管や給湯器の配管は、忘れずに水抜きを行いましょう。
保温材を巻く: 水道管や給湯器の配管が露出している部分には、市販の保温材を巻いて冷気から保護します。ホームセンターなどで手軽に入手できます。
不凍液を使用する: 給湯器や温水洗浄便座など、特定の設備には不凍液を使用できる場合があります。取扱説明書を確認し、適切に利用しましょう。
これらの対策を怠ると、凍結による水道管の破裂で、高額な修理費用や漏水による家屋への被害が発生する恐れがあります。特に寒冷地では、専門業者に相談して適切な凍結防止対策を施すことを検討してください。
長期不在時の水抜きと元栓閉鎖
空き家を長期間利用しない場合、水道の元栓を閉め、さらに水抜きを行うことが非常に重要です。これにより、さまざまなリスクを未然に防ぐことができます。
水質悪化の防止: 長期間水が滞留すると、水道管内で雑菌が繁殖し、水質が悪化する原因となります。水抜きをすることで、これを防ぎます。
異臭や害虫の発生抑制: 排水トラップの水が蒸発すると、下水管からの異臭や害虫が屋内に侵入する原因となります。水抜きと合わせて、排水トラップに不凍液や専用の蓋をすることで対策できます。
水漏れリスクの低減: 誰もいない間に万が一水道管に異常が発生し、水漏れが起きた場合、被害が甚大になる可能性があります。元栓を閉めておくことで、このリスクを大幅に低減できます。
水道料金の無駄遣い防止: わずかな水漏れでも、長期にわたると高額な水道料金が発生することがあります。元栓を閉めることで、不要な出費を防げます。
水抜きの手順は、まず家全体の水道の元栓を閉めます。元栓は通常、敷地内の水道メーターボックス内や、家屋の給水管の近くに設置されています。その後、家中のすべての蛇口を開放し、水道管内の水を完全に排出します。給湯器やトイレのタンクの水も忘れずに抜くようにしましょう。
これらの対策は、空き家を健全に維持し、予期せぬトラブルから守るために不可欠な管理方法です。
まとめ
空き家の水道通水は、建物を守るために極めて重要です。通水を怠ると、管の乾燥による劣化・破損(漏水リスク)、封水切れによる異臭・害虫の発生、水質悪化などの深刻な問題が起こります。これらのトラブルは高額な修繕費や資産価値の低下に直結します。
リスクを回避するため、水道は月に1回程度、全ての蛇口から数分間流すことが推奨されます。また、冬場は凍結防止対策として水抜きを徹底し、長期不在時は元栓を閉めることが、空き家を健全に維持する上で不可欠です。



